[Q&A] 所有権留保とは?
所有権留保とは「売主が売買代金を担保するため、代金が完済されるまで引渡しの終えた目的物の所有権を留保するもの」です。
実は、法律の規定はありません。非典型担保とよばれ、判例によって認められた制度です。
この単語としてなかなか聞きなれない「留保」とは?事例を挙げて、ご説明致します。
所有権留保があるケース
事例1. 給湯器などの設備を交換し、分割払いをしている。
事例2. 太陽光パネルを設置して、まだ太陽光パネルのローンも残っている
事例1.2はどちらも住宅ローンとは別のローンが残っている状態です。
この場合、買主が代金を全額支払い終えるまで売買の目的物の所有権を買主に移転せずに売主にとどめておくことが「留保」です。
例えば、事例1.の場合、購入代金が支払うことが出来なくなったとき、ディーラー又は販売会社が自動車を引き揚げて残債務に充当するということが行われます。これは、自動車に所有権留保がなされているからです。
このように自動車を一括払いではなく、割賦で購入(分割払いで購入)すると、代金完済までは所有者が販売会社になっていると思います。
これが、所有権留保の典型です。
※実際には、所有権留保特約があってもそれだけで返還請求はできません。
その代わりに、破産手続きとの関係ではその商品に対して一種の担保権を有するものとして扱われ、抵当権などの担保権と同様に扱われます(これらの担保権を総称して「別除権」といい、破産手続に拘束されることなく行使することができます。)
具体的には、売主は破産者(破産管財人)に対し、商品等の時価と売買代金残金との差額(清算金)の支払と引換えに目的物の引渡し請求をすることができるとされています。
所有権留保がある自宅でも任意売却できる?
また事例2.のように、まだ代金の支払いが残っている設備(太陽光パネル等)が含まれる家を任意売却した場合、これらの設備は残代金を支払わない限りは担保権者から引渡を請求される場合があります。
実際にあった例としては、返済が滞ったことで給湯器の所有権が留保されていた自宅を任意売却したところ、給湯器が債権者によって強制的に引き上げられたというケースもありますので注意が必要です。
そのため、まだ支払いが終わっていない設備のある家を任意売却する場合は、先に代金を支払ってしまうか、難しい場合は買主に代金を負担してもらうなど、買主とも調整をして進めることで任意売却は可能です。
このようなローンが残った設備などがある場合は、所有権留保に注意して任意売却をする必要があるため、まずは専門家へご相談ください。