[Q&A]競売の現況調査とは?

Q:競売の執行官の現況調査の通知がきました。どうすれば良いでしょう?

住宅ローンを滞納してしまい、自宅が競売にかけられてしまいました。

裁判所から執行官による現況調査の通知が届いたのですが、どのように対応すればよいのでしょうか?

現況調査の日程が書いてありますが、必ず立ち会わなければならないのでしょうか?

どのような人が来てどのようなことをされるのでしょうか?

 

執行官による現況調査とは?

競売の執行官が訪問するというと、家を荒らされたり厳しい取り立てをされるというイメージをお持ちの方もいらっしゃいますが、実際にはどんな人が何をしに来るのでしょうか?

 

現況調査の目的

この現況調査の目的は、競売の対象となる不動産の鑑定です。

物件の状況を調査することで、競売の基準となる評価額を算定します。

そして、そのの結果が公開することで、競売で落札する業者や個人に物件の情報を提供するのです。

 

実際に何が行われるのか?

現況調査では、裁判所が任命する執行官と一緒に不動産鑑定士が自宅を訪問します。

不動産鑑定士は評価額を算出するために、実際に家の外観や室内を見て建物の劣化状況などを確認します。

記録のために室内の写真も撮影されます。

また、居住者への簡単なヒアリングも行われます。
ヒアリングの内容は「誰が住んでいるか」「壊れている箇所はないか?」など簡単なものです。

【執行官は怖くない?】
自宅が競売にかけられて執行官が訪問するというと、かなり身構えてしまう方もいらっしゃいます。中には強硬な取り立てや恐喝をイメージする方もいるようです。しかし、執行官はあくまでも裁判所が任命した人ですので、手荒なことは絶対にしません。また、債権者とも関係がありません。基本的には誠実かつ粛々と自身の業務をこなすだけですので、そこまでナーバスになることではありません。

 

調査内容は裁判所やインターネットで公開される

現況調査後は、不動産鑑定士が基準となる価格を算定します。

そして、その結果は資料にまとめられ裁判所やインターネットに公開されます。

この時、当日撮影された写真なども一緒に公開されるため、外観や室内がインターネット上に掲載されてしまいます。

そのため、近所の方などに見られてしまい、自宅が競売になったことが知られてしまいます。
また、室内の写真も掲載されるためプライバシーの問題も出てきます。

 

当日の立会いは必須?

裁判所から送付されてきた現況調査の通知には、訪問日が記載されています。

しかし、仕事などでどうしても立会ができない場合もあると思いますが、もし立ち合いをしないとどうなるのでしょうか。

結論から言うと、この立ち会い協力は努力義務であり、必ず立ち会いをしなければならないわけではありません。

また、立ち会わなくても特に罰則はありません。

しかし、立ち会いに協力しないと以下のようなデメリットもあるので、可能な限り当日立ち会うことをお勧めします。

 

当日立ち会わないとどうなるか?

執行官が訪問する日に留守にしていると、自宅の鍵を強制解除されて自宅に侵入されます。

具体的には、鍵屋を同行させて鍵を解除します。

そんなことをして良いのかと思うかもしれませんが、執行官は裁判所が任命しており、法的に自宅に立ち入る権限を持っています。

逆に、協力しないで鍵をかけておくと、この鍵の解除費用(鍵屋さんの費用)を債務に上乗せされて後で請求されてしまうのです。

なお、侵入されても室内を荒らされるようなことはありませんが、勝手に室内をくまなく見られるのであまり良い気持ちはしないと思います。

 

日程がどうしても合わないときは?

裁判所から送られてきた現況調査の通知に記載してある日程がどうしても都合が合わない場合もあるともいます。

その場合は、管轄の裁判所へ電話をして協力する旨を伝えれば、多少であれば融通を利いてくれて日程を変更してくれます。

 

執行官訪問後の競売のスケジュール

執行官が自宅を訪問してからのスケジュールは、そのときの裁判所の案件量などによっても変わってきますが、概ね下記の通りです。

2~4ヶ月後:基準価格と入札スケジュールの通知

執行官の訪問から2~3か月で、現況調査の結果を踏まえた基準価格と入札開始日が書面で届きます。

約1ヶ月後:公告(一般公開)

基準価格と入札日の通知から約1か月後に、その内容が裁判所やインターネットで一般公開されます。
現況調査の結果も資料にまとめて公開されますので、室内の写真なども掲載されてしまいます。

約1か月後:入札開始

競売の入札が開始されます。

1~2週間後:入札終了・開札

入札期間が終了し、落札者が決定します。

1~2ヶ月後:所有権移転

自宅の所有権が落札者に強制的に移転されます。
自分のものではなくなってしまうため、自宅を明け渡さなければなりません。

2~3ヶ月後:強制執行

もし、所有権移転後も自宅を明け渡さずにそのまま居座った場合、2~3ヶ月で強制執行されて強制的に自宅を追い出されてしまいます。

 

執行官の訪問前後であれば、まだ任意売却が間に合う可能性も

執行官が訪問後、そのまま競売にかけられてしまうと、現況調査の資料として室内の写真などプライバシーが公になってしまうだけでなく、相場よりも低い価格で叩き売られてしまいます。

しかし、上記のスケジュールの通り、執行官が訪問してから競売の開札まで4~6ヶ月程度の期間があります。

開札までに任意売却で一般市場で売却することができれば競売は取り下げられますので、最後まで諦めずに任意売却をすることも検討したほうが良いでしょう。

ただし、任意売却をするにしても最低1~2ヶ月はかかりますので、一刻も早く専門家に相談することをお勧めします。