[Q&A] 任意売却は不動産譲渡所得税がかからない?

任意売却は不動産の売却をすることになります。

不動産の売却をする場合には譲渡所得になるから税金がかかるという知識をお持ちの方は、任意売却の際にはどうなるのか?という事が気になる方もいらっしゃると思います。

このページでは任意売却を行った場合の不動産譲渡所得税についてお伝えします。

 

任意売却とは

そもそも任意売却とはどのようなものかをおさらいします。

住宅ローンを利用して住宅を購入する際には、住宅ローン債権者は売買目的不動産に抵当権という担保権をつけます。

この担保権をつけることによって住宅ローンの支払いがなかった場合に債権者は不動産を競売にかけてお金にかえてしまい、債務の返済に充てることができるようになっています。

しかしこの競売ですが、市場価格の7割~8割程度の金額での売却になるため、債務者にも債権者にも不利益な内容になってしまいます。

そこで、不動産を市場価格に近い形で自分で買主を見つけて売却し、債権者としては回収金額が上がるメリットがあり、債務者も場合によっては引っ越し代等がでる可能性があるという手続きが任意売却という手続きになります。

 

不動産譲渡所得税とは

個人が収益をあげた場合には所得税という税金がかかります。

不動産譲渡によって利益があった場合には、その利益は所得税の計算上の「譲渡所得」として計算され課税をされます。

利益があった場合にかかる税金なので、取得をするための金額よりも売却した時の金額の方が少ない場合には所得税が発生せず、売却価格のほうが取得のための価格より多い場合にかかる税金であることをまず把握しましょう。

もう少しわかりやすく計算例をあげますと、2,000万円で取得した不動産を1,000万円で売却したときには1,000万円損をしているので、この場合には不動産譲渡所得税はかかりません。

しかし2,000万円で取得した不動産を3,000万円で売却した場合には、1000万円の利益が出ているためこの利益に対して課税されます。

 

自宅の売却における3000万円控除の特例

ただし、ご自身が住んでいる自宅を売却する場合には、課税対象となる利益を3000万円まで控除する特例があります。

従って、自宅を売却する場合には、利益が3000万円までは譲渡所得税が掛からないことになります。
自宅を売って3000万円以上の利益が出ることはほとんどないと思われますで、実際には譲渡所得税が課税されることは極めてまれです。

ただし、「自宅を購入した時の書類を紛失してしまった」「相続で取得したためいくらで購入したのかわからない」などの理由で、自宅を購入した金額を証明できない場合は売却額のほとんどを利益としてみなされてしまうため注意が必要です。

また、あくまでもこの特例はその不動産に住んでいることが前提になりますので、もう住んでいない家を売却した場合は特例の対象外となります。

 

任意売却のときに不動産譲渡所得税がかからない場合

前述の通り、不動産譲渡により利益が出ている場合には課税の対象になるのが原則です。

ただし、所得税法9条1項10号は「十  資力を喪失して債務を弁済することが著しく困難である場合における国税通則法第二条第十号 (定義)に規定する強制換価手続による資産の譲渡による所得その他これに類するものとして政令で定める所得(第三十三条第二項第一号(譲渡所得に含まれない所得)の規定に該当するものを除く。)」としています。

これは、支払えなくなって競売された場合に利益が出たとしても課税しないということを規定しています。

また、同条の後段にある政令である所得税法施行令は「法第九条第一項第十号(非課税所得)に規定する政令で定める所得は、資力を喪失して債務を弁済することが著しく困難であり、かつ、国税通則法(昭和三十七年法律第六十六号)第二条第十号(定義)に規定する強制換価手続の執行が避けられないと認められる場合における資産の譲渡による所得で、その譲渡に係る対価が当該債務の弁済に充てられたものとする。」と定めています。

つまり、資力を失って売却せざるを得ない状況で売却した場合には、課税の対象外となるケースがあり、任意売却はこれにあたる可能性もあります。

が適用されるかどうかは、一般の人にはなかなか判断がつかないため、任意売却を専門としている不動産会社に相談をするようにしてください。