[Q&A] 自分が死んだら任意売却後に残った債務はどうなる?(相続放棄)
ご高齢の方からのご相談で、「息子や妻にはどうしても迷惑をかけたくない」「任意売却後に残った残債は、自分が死んだら消えるのか?」というご要望やご質問をよくいただきます。
例えば、ご両親が亡くなった後、住宅を任意売却しても残った残債や借金がある場合、相続人は借金を返済する義務を負うことになります。
団体信用保険は使えない
よく「団体信用生命保険(以下、団信)に入っているから任意売却後に残った債務は自分が死んだら消える」と誤解をされている方がいらっしゃいますが、結論から言うと団信はあくまでも住宅ローンの保証なのでご自宅を売却してしまった時点でこの団信は使うことが出来ないのです。
その借金を相続し借金を支払うことができずに財産(相続人ご自身の家)などを競売にかけられてしまうケースがあります。
では具体的にどのような方法があるかご説明致します。
方法① 自己破産で債務をすべて免責にする
亡くなる・亡くならないに関わらず、本人が自己破産を申し立てることで、債務そのものが免責になります。つまり残った残債を本人も含めて支払う必要がなくなるのです。
自己破産というと一般的にはイメージが悪く思われがちですが、最大のデメリットはご自身の自宅(不動産)を失うことであり、すでに自宅を任意売却してしまった後ではそれほど大きなデメリットはありません。
そのため、相続人のことを考え、自己破産をするということです。
方法② 相続人が「相続放棄」する
高齢の方が任意売却し、その後自己破産せずに残債を分割払いで支払っていく場合、ほとんどの方は存命の間に完済することができません。
その場合、完済する前に本人が亡くなると残った債務は法定相続人に相続されます。
法定相続人とは、基本的にはまず妻やお子さんになるため、このまま相続してしまうと返済する義務を負ってしまうということになります。
この時、「相続放棄」という手続きをとることが出来ます。
相続放棄とは?
相続放棄とは相続する権利を放棄する制度で、最初から相続人ではなかったのと同様に扱われますので、裁判所にてこの手続きを行うことで債務を相続することを防ぐことができます。
相続放棄の手続きを取っていれば、仮に債権者から相続人に請求が来たとしても支払いの義務はなくなりますので、残債などがあれば親族にその旨を伝え、自分に万が一のことがあったらすぐに相続放棄の手続きをするように伝えておきましょう。
ただし、相続放棄は「被相続人の死亡を知った日から3か月以内」という期限があり、その期間を過ぎてしまうと放棄できなくなってしまうため注意が必要です。
なお、相続放棄の手続きは司法書士や弁護士が代理をしてくれますので、必要であれば当社でご紹介いたします。
これは非常に重要な問題ですので、早めに相続人となるご家族ともよく話し合ってきましょう。